西吾妻山登山


西吾妻山頂(標高約2,035(m)を天狗岩分岐より下った地点から臨む
深田久弥の百名山で述べているように山頂といっても広い平原状であるのが見て取れる

 深田久弥による「日本百名山」では吾妻山の頁の冒頭で次のように述べています。

 一口に吾妻山と呼んでも、これほど茫漠としてつかみどころのない山もあるまい。福島と山形の両県にまたがる大きな山群で、人はよく吾妻山に行って来たというが、それは大ていこの山群の一部に過ぎない。

 この山群には一頭地を抜いた代表的な峰がない。それでいて、東北では貴重な千九百米以上の高さを持つ峰が十座近くも群がっている。しかもそれらの峰がいずれもずんぐりした形で、顕著な目じるしがないので、遠くからこの山群を望んで、どれがどの峰かにわかに識別しがたいほどである。

 そのなかで吾妻小富士が名の通り一つのまとまりを見せているが、しかし千七百米しかなく、形も小規模なので、これをもって吾妻山の代表とするわけにはいかない。東吾妻、中吾妻、西吾妻という名称の使いわけも、この山群の地形を分明するものではない。それと同資格の一切経山(イッサイキョウサン)、東大巓(ヒガシダイテン)、西大巓(ニシダイテン)などが他に譲らず頑張っている。

 この厖大な山群には、渓谷あり、高原あり、湖沼あり、森林あり、しかも山麓をめぐってあちこちに温泉が湧いている。包含するところの景勝は甚だ豊富であるが、それを極めつくすのは容易ではない。

 − 中略 − 

 総称の吾妻山は非常に広範囲で、その最高峰は西吾妻山である。山群中唯一の二千米峰であるが、近隣の峰々がそれに近い高度を持っているので、飛び抜けて主峰という感じはない。私が年長の友と二人で、その最高峰へ登ったのは、四月上旬であった。白布高湯を出発点として、その宿屋の前からスキーがはける位まだ雪があったのに、それから頂上までのあいだ、快晴の土曜にもかかわらず、一人の登山者にも出会わなかった。まだリフトなど全くなかった頃である。

 二人はスキーで森林帯の急坂を登り、人形石の峰の上に立つと、当の西吾妻山は気の遠くなるほど遥か向こうにある。そこまで行く山稜は、稜線というより広大な高原で、ここへきてはじめて吾妻山西部の雄大なスケールを見た。西吾妻山の頂上も、つかみどころのない広い原で、丈の低いオオシラビソが雪面に続々と頭を出している風景は、友の形容を借りれば「大海の波のあいだにイルカの群れが跳ね廻っている」ようなおもむきであった。

 私たち家族3人はは平成17年(2005年)夏に憧れの磐梯山に登り、そしてに平成19年(2007年)夏にはそのお隣の文学の上でも由緒ある安達太良山の山頂に立ち、この西吾妻山を遥かに臨みました。今度は是非その西吾妻山から磐梯山と安達太良山を臨んでみたいと思っていました。今夏、家族登山として西吾妻山を選んだ理由は勿論ロープウェイとリフトを乗り継げば体力の衰えた私たち夫婦でも何とか頂上まで行けるのではないかとという思惑と、二年ぶりにニューヨークから帰国する娘に開湯700年の歴史を持つ白布高湯の温泉を味合わせてあげたいという意図もありました。

 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)
を使用したものです。 (承認番号 平業使、第268号)