長兵衛のつぶやき

新自由主義の行く末
昨年(2007年)夏の米国サブプライム・ローン破綻に始まり、最近の世界金融危機の流れのなかで、新自由主義を標榜する資本主義社会の行き詰まりが米国大統領選挙でアフリカ系候補者の勝利をもたらすという未曾有の社会変革のうねりをを巻き起こしています。

そもそも新自由主義は”全てを市場の動きにゆだねて、政府はそれに介入すべきではない”という市場原理主義を掲げ1981年に就任就任した米国レーガン大統領に始まり、英国サッチャー政権、そして最近8年のブッシュ政権に引き継がれ、日本では小泉政権でのバック・ボーン理論でもありました。これらの政権では、規制緩和や構造改革を進めると同時に、伝統的な家族や地域、学校、企業というような共同体の再建を主張し、強い国家を標榜して、国民を統合させるという意識がありました。

しかしながら、この新自由主義の立場は別の見地からするとトリックルダウン理論(Trickle Down Theory)という”金持ちや企業が富めれば、そこからしたたり落ちる富で社会全体が潤うという”考え方に立脚している為に、最近では米国内でも貧富の格差を生み出した元凶の考え方であるとの批判も起きています。

さりとて、この対極にある福祉国家型分配社会に向かうには最近の国家の財政は余りにも逼迫しています。来年1月20日から発足する新オバマ政権はこのような難局にどう対処していくのでしょうか?

バブル経済は繰り返される
バブル経済は、実体経済の経済成長以上に資産価格が上昇しつつある状態の中で、非常に多くの人々の所謂マネー・ゲームで呼び込まれた投機活動によって支えられたもので、いずれは一気にバブルのように弾けるものであると知られています。

1980年代の後半に日本で弾けた土地バブルに、その後の失われた10年と呼ばれるリセッションを通じて人々はもう懲り懲りの経験をした筈です。

所が、資本主義社会では先輩格のアメリカにおいて、昨年来サブプライム・ローンの破綻に端を発した金融市場の混乱は、正に日本に於いて経験したバブル経済の成行きと全く同種のものであることは明々白々です。住宅市場を刺激する為のマネー・ゲームがリスクの高いローンの証券化によってその害毒が世界中に撒き散らされたわけです。米国下院議会が世論の反対によって一度は「緊急経済安定化法案」を否決した流れは、かつて日本の圧倒的な世論の反対によって「住専やメガ・バンクへの公的支援」が難航した経緯と全く同じです。

この金融危機と一見無関係に思われる地球環境悪化を食い止める為の防止策として昨今喧伝されている「CO排出権取引」も一連のマネー・ゲームの様相を呈していると思われてなりません。排出権という架空の権利を設定して、それを単なるマネー・ゲームの市場を作り出すことによって実体経済の動きを歪め、全く実際の排出量の抑制に繋がらないと思われるからです。

人間の金融を通しての愚かな経済活動は何故このように繰り返されるのでしょうか?

松本清張の長編小説「熱い絹」
: 近年、日本人の間で海外Long Stayで話題になっているマレーシアのキャメロン・ハイランドに平成19年2月下旬出かけました。
キャメロン・ハイランドは少々旧聞になりますが、松本清張が1988年(昭和63年)に発表した長編小説「熱い絹」の舞台となった中部マレーシアの高原保養地です。

小説は実際に起こったタイのシルク王といわれたアメリカ人ジェームス・トンプソンの失踪事件を題材にした何とも不思議な物語で、実際には未解決の事件の謎解きをした大変面白い小説です。

特に、キャメロン・ハイランドに長期滞在をしたいと思っている者には興味尽きない小説で、小生も今回の旅に出かける前日に講談社文庫で出されている上下2巻を急遽買い求め、7時間の飛行機の中、4時

間のバスの中で夢中になって読みました。 標高1,600mの高地にある上の写真のような茶畑を松本清張は太平洋戦争中マレー半島を南下した山下奉文連隊の兵士の一人が山岳土族の賢者としてこの山中に生き残り、自分の出身地の駿河茶の作法を広めた結果であるとしたフィクションも真実味を帯びて感じられました。
技術革新と通信インフラ
: 平成19年2月初旬、電話ソフトのSkypeをインターネットからダウンロードして使い始めてみました。
Skype(スカイプと読みます)とは世界中どこへでも無料コールができる、無料の通信ソフトウエアです。技術的に言えばP2P技術を用いたインターネット電話ソフトで、昨年辺りから主にヨーロッパで爆発的に普及し始めたもので、現在(2006年12月時点)Skypeユーザーの総数は全世界で1億3600万人に登ると言われています。更に、1日平均20万人のペースで増え続け、日本国内でもユーザーが400万人を越えていると言われています。(日経パソコン誌より)

先ず、電気量販店で4,000円弱の大枚ををはたいてウェブ・カメラを買い求めました。これがことを始めるために掛る唯一の出費で、この機器には30mbのカメラとマイクロフォンが組み込まれています。

次に、YahooでSkypeというキーワードで検索して表示れたサイトから無料でダウンロードしたIP電話ソフトを導入し、自分のSkypeIDを決めてユーザー登録をすればそれで準備完了。後はやたらな他人から電話を受けたくなければ、自分が電話したい相手のSkypeIDからのみ電話を受信する旨の設定も出来る。

早速NYに住む娘にパソコンに向かっている時間帯を狙って電話してみる。これもコンタクト・リストに登録している相手を選んで、電話ボタンをクリックするだけの簡単な操作で済みます。相手のパソコンの電源がオンであれば呼び出し音を鳴らし、相手がそれに応ずれば相手の顔を見ながら何時間でも無料で話が出来る大変便利なものです。

この経験から技術革新による無料通信インフラの有難さを痛感し、この分では従来の電話会社の商売は将来どうなるのだろうかと、思いをめぐらした。

情報通信白書
: 平成17年6月28日総務省が主としてインターネットの使用状況に関する情報通信白書なるものを発表したという記事が新聞に非常に小さく出ていました。その内容にちょっと興味をそそられましたので以下にその一部を紹介します。詳細は上の表題のリンクから白書のホームページを訪問して下さい。

☆インターネットの一日の使用時間
  新聞:      31分(前年比2分減)
  インターネット: 37分(前年比5分増)
  テレビ: 3時間31分(前年比13分減)

☆インターネットの情報別利用率(複数選択)
  ニュース:   テレビ84%、 インターネット67%、 新聞62%
  趣味・娯楽: インターネット89%、 テレビ36%、 新聞12%

上の統計を見るとインターネットが近年情報収集に不可欠な手段になりつつあることが判ります。
特に、新聞が小生自身も最近面白くなくなったと感じている理由がうなずけます。

ニュースはテレビで一日何度か繰り返して見ますので、新聞で新たに知ることは殆どないし、事件の映像に関してはテレビやインターネットに映し出される写真には敵わない。

何か調べごとをする場合、新聞やテレビは双方向性がまだないのでインターネットには全く太刀打ちできません。 

市長選挙:

平成17年6月19日(日)市長選挙が行われました。
今回の選挙の争点の一つに現職市長がその友人である元県会議長の多額の脱税事件に関与したという疑惑があり、そのような人物の再選を許さないという市民の声が高まっている中の選挙であったので、市政への関心の高まりを受けて、投票率も前回よりは高くなるだろうと予想されていました。

小生もそのような状況の中でこの地方選挙に従来より関心を寄せており、前日18日(土)の午後ウォーキングがてらに民主党副代表の小沢一郎の応援演説を聞きに出かけたほどでした。

: 当日夜10時のニュースでは早くも疑惑の現職市長の再当選と投票率が判明しました。当落の結果は止む得ないとして、非常に残念に思ったのはその投票率の低さです。何と市内全域の平均投票率が37.2%であり、当緑区のそれが36.7%に終わった点は大変な驚きでした。当日は悪天候でもなし、行楽シーズンでもなかったにも拘らず前回の投票率を2%も下回ったことは、元県会議長の脱税事件発覚当時の市民の怒りの声や、最近持ち上がっている産業廃棄物最終処分場反対の市民の声に対する市当局の冷淡さに対する多くの憤慨の声は何処へ行ってしまったのだろうかと思いました。

市民は色々な市政に対する願いが色々あると思われるのに、大多数の市民はその自分たちの声を反映するための最も有効な選挙権の行使に何故無関心なのでしょうか?矢張りこの日本では真の民主主義が育っていないのでしょうか?

JR福知山線の脱線事故:
: 平成17年4月25日朝、尼崎駅手前で起こった脱線事故は何と死者107人を出すと言う近年にない痛ましい事故でありました。
脱線の直接の原因はカーブ直前でのスピードの出し過ぎではないかと取り沙汰されていますが、原因の如何を問わず先進国の一翼を担い、技術立国を標榜する日本にとってこのような信じられないような事故を起こしたことは真に恥ずかしいことであると思います。日本は航空機産業ではアメリカに太刀打ち出来る状況にありませんので、特に鉄道関係の技術では世界に冠たる技術国であって欲しいものです。この際徹底的にその原因を追究して、2度とこのような悲惨な事故が起きないよう国を挙げて対処して欲しいと思います。
一方、JR西日本の安全軽視体質なども徐々にメディアを通じて明るみに出されていますが、これは単にこの一企業に特有のものではないように思われます。

第一に、アメリカなどに長く生活してみて感じたことは、日本においては航空機、鉄道、船舶等の運輸業者のみならずそれらを利用する客たちの間にも「ダイヤ通りの運行」をより優先し、「安全運行」を二の次にする気風が非常に強いということです。一頃の国鉄の正確無比なダイヤ通りの列車運行は日本社会の美徳の一つとして誇らしいものとされてきました。一方、先進諸国では航空機や鉄道の運行時刻が安易に変更され、そのことがあたかもその社会気風のだらしなさとして軽蔑の眼で見られてきたきらいすらありました。しかしながら、これは裏を返せば日本の社会全体が安全軽視の体質にどっぷり浸かっていたのではないかと思われてなりません。これからは公共交通機関の運輸業者は無理な過密ダイヤを組まないという態度に徹する必要があるのは勿論のこと、それを利用する人たちも「安全運行」を第一としてある程度の余裕をもって移動のスケジュールを立てるという社会的気風を醸成していく必要があると思います。

第二には、大都市の極度の人口集中です。一頃、首都機能の移転が取り沙汰されましたが、昨今ではとんとその声を聞きません。それどころか最近では大都市の中心に続々と高層ビル建設ラッシュが続いており、その反面地方都市の空洞化が伝えられています。小生、世界色々な都市を旅しましたが、少なくとも先進諸国では東京や大阪のような人口集中度の高い例を見ません。外国から帰国する度に感じたことは、諸外国で東京や大阪のような通勤ラッシュがあればこれは暴動が起こっても可笑しくない状態だと感じました。 このような極限状態の中では、いくら高度な新型ATSを導入したとしても、列車運行管理には人為的な要素が必ず残るわけですから、今回起こったような事故を皆無にすることは不可能のような気がします。大都市の人口集中は社会・経済の高度成長期にはこれほど能率の良い環境はなかったと思われますが、低成長期に入り、環境や心のゆとりを大切にする時代にはこのような大都市集中を避けるような施策が一方に於いて必要だと思います。

ニッポン放送買収騒動:
: この数週間Livedoorの堀江社長の巻き起こしたニッポン放送買収劇に関するメディアの報道振りは、賛否両論すさましいものでした。
賛成側は日本の旧態依然とした株主軽視の会社経営を非難し、既得権にしがみつく日本の政界・財界の先見性のなさを指摘していました。
反対側はホリエモンの不躾ぶり、無法ぶりを「土足で他人の家に上がりこんで仲良くしようとは」とか「時間外取引の卑怯な手を使って」とか非難しきりでした。
このようなマネーゲームに就いて全く不案内な小生としてはどちらの意見も尤もらしく、どちらの側に付いたらよいか迷うところしきりでした。

こんな折、4月10日発行の文芸春秋5月号に「平成ホリエモン事件」という特集が掲載され、各界のそうそうたる人たちの感想や意見が述べられていて大変参考になりました。ここに於いても賛否両論で自分のような不案内者が迷うのは当然と思われました。

株主資本主義は世界の趨勢として当然のことと賛成できるが、これは株主が正常な投資家である限りは納得できますが、向こう見ずな投機家に振り回されるようになれば、産業の正常な育成どころではなくなるのではないかと心配します。 色々な議論で余り明確に触れられていないポイントはこの事件は電波を独占する既得権者と新興無既得権者の戦いという側面もあったということです。現在進行中のデジタル地上波放送の動きも既得権者の既得権防衛の布石ということも出来る訳ですから。

「平成ホリエモン事件」は4月18日無事決着しましたが、結末は何とあっけないものでした。

原油のすさましい高騰と代替エネルギー:
: 年初来ずっとNYの原油価格の高騰が伝えられ、世界経済とりわけ回復傾向にあった日本経済に深刻な影響を与えようとしています。

資源が乏しく生き残るためには額に汗して働く以外に道が無い我々日本人にとっては、産油国と投機マネーのエゴに何時までも振り回される状態が続くのはやり切れない思いです。
そこで世界に冠たる技術立国の日本が何とか化石燃料に依存しない代替エネルギーを考案することが出来ないだろうかと思いを巡らし、期待するのは自然の成り行きです。

小生の学生時代1950・60年代に世界各国で核融合の研究が始まり、もう20年もしたら核融合炉が開発されて人類は無尽蔵のエネルギーを手にすることが出来るだろうというようなバラ色の夢が語られたことがありました。あれから半世紀も経つのに核融合の実用化はどうなっているのだろうと思っていた矢先、2月10日発売の文芸春秋3月号にあの田中角栄追い落としで有名な立花隆さんが「日本の敗北、核融合と公共事業」というレポートを発表しました。この自然界で最も強大なエネルギー発生装置は何と太陽で、その太陽が核融合炉そのものであるという。もう一つの人工的な核融合は水素爆弾の爆発であると言われています。この半世紀幾多の挫折を乗り越えて、水素爆弾をゆっくり持続的にコントロールしながら爆発させる技術の研究がアメリカでも日本でも進んでいるということです。あと何年先の夢か判りませんが・・・。