編集後記(土佐の国後半)

今回の区切り打ち遍路は何が新しかったか?

 お遍路にとっては土佐の国は修行の道場と言われ、札所と札所の間の距離が非常に長いのが特徴です。その長さゆえに歩くのが大変で修行が必要だということでしょう。

 然しながら、今回土佐の国の後半を歩いてみて感じたことは、その長さに加えて歩くルートの選択肢が複数あることが特質に挙げられると思いました。

 例えば、三十六番青龍寺から三十七番岩本寺へ行くには横浪スカイライン経由や、内陸側の県道23号線経由や、或いは浦の内湾の巡航船を利用するルート等の全く様相を異にしたルートの選択肢があります。また、三十七番岩本寺から三十八番金剛福寺へのルートや、三十八番金剛福寺から三十九番延光寺へのルートもその間の距離の長さだけでなく、全く異なったルートの選択の難しさに直面します。

 従って、その選択次第ではあるお遍路にとって、旅が予想外に厳しいものになったり、その逆に非常に楽しいものになったりすることがあり得ると思いました。その意味ではこの修行の道場は各々の遍路にどのルートを選択すべきかを試しているという意味でも修行の道場であるのかなあと思いました。

 今度の旅でもう一つの思いがけない出来事は、窪津小学校で5‐6年生の複合クラスの授業参観のお許しを得たことでした。校長先生と担任の先生方のご理解ある対応には感謝するばかりですが、月並みな言い方をすれば、これも弘法さんのお許しがあったのだと思いました。特に小生は孫がまだいない所為か、子供たちの成長する姿をみることが大好きです。今回の授業参観は思いがけずこの機会を間近に得ることになって大変嬉しく思いました。

大阪のUmさん及び今後土佐の国の後半の区切り打ちを計画している方々のために:


(1)遍路宿の選択に就いて

 高知市内では小生が利用した高知パレスホテルとか西鉄インはりまや橋等のビジネス・ホテルが清潔で機能性が高く値段も安いのでお勧めです。

 土佐市の清滝寺近辺には3軒しか宿泊所がなく、その内で喜久屋旅館は女将が高齢の為食事を用意できないというので、白石屋旅館かビジネスイン土佐のどちらかの選択になります。小生は同宿の遍路さんから色々情報を聞き出したいという意図で白石屋旅館を選びましたが、その必要がなければビジネスイン土佐も見た所良さそうでした。

 横浪半島の青龍寺近辺では小生が泊まった国民宿舎土佐が一押しです。太平洋側の部屋は抜群の眺めで、予約は早めにしておいた方がよいと思います。青龍寺で疲れてしまったら、電話すると車で迎えに来てくれますし、奥ノ院目がけて裏山を登るのも又楽しいでしょう。風呂は温泉ではありませんが、露天風呂、内風呂共に大きくて清潔です。洗濯機・乾燥機も何台もあります。食事もまあまあです。インターネットが利用できるパソコンがロビーにおいてあるのも非常に助かります。フロントのスタッフが旅の計画の相談に親身に応じてくれるのは有難いことでした。この他の宿としては、聞いた話ですが、宇佐大橋の袂の汐浜荘はリピーターがよく利用する宿のようですから、悪くはないと思います。但し、ここを利用する場合は、次の日は横浪スカイラインでないルート選択になりましょう。前の日は荷物を預けて青龍寺への往復をするとよいでしょう。

 須崎と窪川の間は小生列車に乗ってしまったので判りません。

 岩本寺の近辺は小生岩本寺の宿坊に泊まりましたが、これが無難な選択でしょう。食事は量が多くて悪くはありません。このお寺近辺の宿の評判も悪くないようです。

 窪川と中村の間は小生列車に乗ったので判りませんが、聞いたところでは多くの人が民宿日の出に泊まると言っていましたから、良いのかもしれません。海を見下ろせる抜群の所にあるようです。

 足摺半島に入った辺りでは、場所的には大岐海岸か以布利辺りが適当でしょうが、小生の泊まった民宿星空は水洗便所がありませんでしたので、あの地域は皆そうかもしれません。然し、食事はたっぷりで、洗濯をしてくれる等サービスは満点でした。親身になって旅の相談にも応じてくれました。

 金剛福寺近辺では国民宿舎テルメがお遍路限定料金で泊めてくれますし、天然温泉の露天風呂と大浴場は素晴らしい。食事も洗練された料理が出ます。最大の難点はランドリー設備が全くないことです。

 延光寺近辺ではリピーターに聞いたところ、寺のすぐ手前の民宿嶋屋が親切とのこと。但し、風呂はユニット・バスだそうです。小生は翌日朝帰るので、平田駅近くの鶴の家旅館にしましたが、ここも古い旅館でリピーターがよく泊まるようですから悪くはないと思います。風呂に入っている間に衣類全部洗濯して廊下に干しておいてくれました。勿論、無料。

(2)地図に載っていない食事処とコンビニ

 雪蹊寺と種間寺の間には何もなかったように記憶しています。種間寺の隣にランチ・レストランがありましたが開いていませんでした。但し、種間寺から30分位行った所に「はるの茶屋」という地図に載っていない喫茶店があり、そこでは日替わりランチとカレー・ライスが出ます。ここを逃したら高岡町まで何もありません。

 高岡町から青龍寺へ行く途中には、手作り弁当やと中華料理店が地図に載っていますが、この両方とも既に営業を停止しているようでした。従って、宇佐大橋に行くまでは全く何もありません。 宇佐大橋の袂に「ドライブイン大橋」というのがあって、小生ここで昼食にしましたが、鍋物、丼物、うどん、ラーメン等とメニューは豊富でした。ここでも青龍寺へ往復する遍路のために荷物を預かってくれるそうです。この「ドライブイン大橋」も何故か地図に載っていません。確か、水曜日が定休ですから注意を要します。

 国民宿舎土佐から横浪スカイラインを行く場合、国民宿舎から土讃線の多ノ郷駅か大間駅までの間21kmはレストランもコンビニも何もないそうです。国民宿舎では衛生上お弁当は出さないそうですから、若しこのルートを行くのなら前の日にコンビニでパンを買っておくべきでしょう。横浪スカイラインを通らずに内陸を行く場合は、横浪の部落にコンビニとスーパーがあります。それ以外は須崎市内まで何もありません。

 須崎と窪川の間は列車に乗ったので判りませんが、窪川には大きなスーパーがあります。

 入野辺りから続く土佐西南大規模公園は素晴らしい海浜公園ですが、その終わりころに「海のバザール」という綺麗な休憩所があり、そこに食堂があります。ここも地図に載っていません。そこから四万十大橋まで何もありませんが、四万十大橋の袂にコンビニとスーパーがあります。大橋を渡って4km位のところの地図に載っている「うどん屋田吾作」は一押しのうどん屋です。その先足摺岬までコンビニは1ヶ所位あったかもしれませんが、食堂は金剛福寺門前以外になかったように思います。

 足摺岬から土佐清水までの海岸線には万次郎の生地の中ノ浜に小さい喫茶店と小さい食品店があります。その他は土佐清水の町まで何もありません。

 土佐清水から延光寺まで小生バスに乗りましたので、よくわかりません。

(3)ルートの選択に就いて

 雪蹊寺と種間寺の間には、お馴染みの赤いお遍路標識がほとんどありませんでした。その代わり自動車用の札所に関する道路標識がやたらとあって、歩きお遍路を惑わします。若し、自動車用の札所に関する道路標識があって、そこが3差路か十字路であったら、自動車用の道路標識を信用する前に先ず他の道に遍路用の標識があるかどうか慎重にチェックすべきです。小生、どぶ川のように汚い新川川に沿った道で、川が左に曲がっている3差路で、自動車用の道路標識を信用したお陰で右に行く遍路道をミスしてしまい、2,3kmロスしました。

 この編集後記の始めに書きましたように、この土佐の国の後半は前半と違って、決定的に異なる複数のルート選択を迫られます。その選択はこれまでのように廻り道をするかショート・カットの遍路道を取るかっというような単純なものではありません。基本的に異なる思想の複数のルートから、自分の体力とスケジュールに最適なルート選びをしなければなりません。 小生、足摺岬の大岐を過ぎたあたりで金剛福寺から帰ってくる何人かのお遍路さんに出会いました。挨拶代わりに逆打ちですかと尋ねますと、一様にいや違います、金剛福寺への往復の帰りですと答えていました。恐らく下ノ加江、大岐、以布利辺りの宿で荷物をおいて金剛福寺へ往復すればよいと勧められたのだと思われます。小生の出会った何人かは身軽だけれど一日40km、50kmの往復は参ったと、疲労困憊しておられました。宿の人はお遍路1人1人の体力とスケジュールのことなど判りませんので、一般的な健脚向きのことしか勧めません。三十八番金剛福寺と三十九番延光寺の間は全く違ったルートが4通り位ありますので、慎重にルート計画をされることをお勧めします。これは人生設計と同じだと思います。

今後のお遍路旅に就いて

 次の区切り打ちは伊予の国の四十番観自在寺からになりますが、恐らく十月の後半になると思います。出来たら今年中に2回位区切り打ちをしたいと思っています。

仏教に就いて再度考えたこと



 前回と前々回の「編集後記」では意味の全く判らない仏教のお経の読経に就いて疑問を呈しました。

 今回の6日間の7つの札所での参拝で、少しは『般若心経』等の読経に慣れてくることを期待しましたが、まだまだ期待したほど進歩がありませんでした。願わくは、もう少しスムーズに読経が出来ないと自分自身に集中出来ないし、読経に対する新しい理解は生まれないと思います。

 従って、現在の段階では、前に述べましたように、仏教において意味の良く分からないお経を称える意味に就いての疑問符は解消していません。

 岩本寺の宿坊で同宿した2人の歩きお遍路さんは、奈良の山伏さんでした。朝の本堂での勤行fの折の振る舞いは全くプロのそれでした。この方たちにそのことを話しましたら、急がず自然に慣れて行けばよいのですと仰っていました。歩き方も全く自分のペースで歩けば良く、人のことは気にしなさんなと言っていました。

今回の旅で出会った特異なお遍路さん達 

 今回は特に印象に残ったお遍路さんには出会いませんでした。 然し、ちょっと感じたことは、これまでの3回の旅では、区切り打ちの方が多かったのに較べて、今回は八十八カ所を一気に廻られる通し打ちの方が多かったように思えました。

 第一回目は昨年の11月、第二回目は今年の三月、、第三回目は今年の四月と皆季節の良い絶好の期間の区切り打ちでした。それに反して今回は本来ならば梅雨入りしている六月初旬であったことから、体力に自信のあるリピ−ターが多かったのかもしれません。それにしても、還暦に近くなっても八十八カ所を一気に廻ろうという気力と体力には感嘆せざるを得ません。